室生寺

安楽寺 大法寺 前山寺 信濃国分寺

安楽寺 現存唯一八角三重塔

 ”小諸なる古城のほとり・・・”。島崎藤村の詩と真田家の城に魅かれて上田城を訪れたのは何年前のことだろう。まだ結婚する前だった気がする・・・。台風一過の10月初め、今回は寺巡りと池波正太郎記念館が目的での旅行である。夏から秋への変わり目、暑くもなく寒くもなく絶好の旅行日和だった。
 写真は安楽寺の八角三重塔である。静かな木立の中、鎌倉時代末期の1290年代からここにある。


DSCF1217.jpg木立の中、三重塔へ向かう


日本の寺院には八角形の建築物、八角堂が在る。代表的なものは法隆寺の夢殿だろうか。ただ塔では他に類を見ない八角三重塔である。八角の建物を見ると私は何故か異国(中国)を思う。中国でそのような建物を見たわけではないのだが。山間に三重塔が仰ぎ見ながら進む。近づく一歩一歩ごとにワクワクする気持ちが膨らむ。

安楽寺1.jpg三重塔


三重塔の建築様式は禅宗様で初重の裳階(もこし)が付いている。塔の高さは18m余りである。北条氏滅亡(1333年)後は寺運も傾いて正確な記録が残っていないようだ。八角の塔を拝観出来るのが嬉しく色々な角度から眺める。何処から見ても八角なのだが・・・。

大法寺


大法寺1.jpg階段下から見上げる”見返りの塔”
並ぶ石仏を右に見ながら急な坂道を上るとこれも急な階段にぶつかる。塔を見上げ”オー”と感嘆の声を上げた後、気合を入れて階段を上る。塔を去る時、その姿の美しさにふり返らずにはいられないことから”見返りの塔”と呼ばれている。高さは18mを超えるが木々に囲まれているせいか小じんまりとして見える。スリムさが美しさを醸し出す。


大法寺2.jpg国宝13塔の1塔
現在、三重塔の国宝は12寺13塔ある。寺、塔の数が違うのは當麻寺の東西の塔とも国宝のためである。大法寺と上記の安楽寺(長野県)、明通寺(福井県)、向上寺(広島県)、一乗寺(兵庫県)、浄瑠璃寺(京都府)、常楽寺と西明寺(滋賀県)、興福寺・法起寺・當麻寺東西塔・薬師寺東塔(いずれも奈良県)の13塔である。私の拝観数はやっと折り返し点である。


前山寺


前山寺1.jpg本堂
. 山麓にある古刹、本尊は大日如来である。812年、空海上人が護摩就業の霊場として開創したと伝えられている。前山寺(ぜんさんじ)としての開山は1331年の推測である。


前山寺2.jpg未完成の三重塔
長い胴貫が突き出ている、窓や扉がなく板塀が張られている、勿論廻縁もない。未完成である。しかし、長い胴貫の突き出しが調和がとれていると言うことから”未完成の完成の塔”と呼ばれている。この前山寺の入り口で近所の人が野菜・山野草などを販売していた。思わず買ったのが”梅鉢草”である。蕾だったが今、愛らしい花を付けている。


信濃国分寺


信濃国分寺1.jpg


信濃国分寺は741年、聖武天皇の勅願により全国に開かれた国分寺の1つである。関ヶ原の戦い時、徳川秀忠軍に従軍した真田信之と本多忠政が西軍についた真田昌幸と会見した歴史的舞台になったところである。池波正太郎氏の作品で”真田太平記”がある。真田家、天下分け目の戦いで父昌幸は西軍、長男信之は西軍につきどちらに転んでも真田家を残す戦略。真田昌幸のすごさを改めて思い出した寺である。

信濃国分寺2.jpgポーポー
アケビ、ウベと似た果物ポーポー(ポポーとも言う)の木が境内にあり実っている。
本堂内に熟した実が置いてあり頂いた。なかなか食べられる機会がない果物である。タイから修行に来た人が植えたものらしい。10月26日(金)の金スマの”1人農業・・・”で幻の果物として紹介されていた。傷みが早く商品にならなかったため農家が栽培をあきらめたところが多く、手に入らないようだ。頂いたポーポーの種を持ち帰り植えた。芽が出ているか毎日、眺めている。


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2014-05-20

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