趣味2 読書-詩

趣味2:読書その2 詩編 中也の世界

詩の入り口

玄関.jpg“都に雨の降るごとく わが心にも涙ふる。
心の底ににじみいる この侘びしさは何ならむ。
大地に屋根に降りしきる 雨のひびきのしめやかさ。
うらさびわたる心には おお 雨の音 雨の歌・・・”。
ベェルレーヌの詩である。高校時代ぐらいから詩は好きだった。かなり読み漁ったのはこの詩に出会ってからではないかと思う。本の多くは引っ越した3年前に処分したが詩も捨て切れなかったジャンルである。ベェルレーヌの詩本をみると昭和45年印刷(ちなみに定価200円)となっているので22~3歳の頃に購入したのだろう。ここからゲーテ、ハイネ、ホイットマンそしてランボーとなり更に“日本のランボー”と言われた中原 中也を知り、のめり込んだ。

中原 中也の故郷を訪ねて

葵の間.jpg写真のキャプションを入力します。 中也の生まれ故郷湯田温泉に行ってみたいの思いはその頃に抱いたがいつか日々の雑踏の中に忘れていた。が、今年の3月ごろに湯田温泉の話をすると寺廻りが趣味の人が山口県に“瑠璃光寺”と言う三大名塔の一つが有ると言うことで旅行の話が驚く早さでまとまり三人旅の実現となった。
 中也は悪ぶる性格だったのだろう。17歳で3歳年上の長谷川 素子と同居から同棲に至った頃にもあまり彼女に優しく振る舞った記述がない。いつか、彼の元から去って行く。
“汚れちまった悲しみに 今日も小雪の降りかかる
 汚れちまった悲しみに 今日も風さへ吹きすぎる
 汚れちまった悲しみは たとえば狐の皮衣
 汚れちまった悲しみは 小雪のかかってちぢこまる
 ・・・・・“
この詩は以前に同棲していた彼女長谷川 素子が彼から離れた後に別の人の子供を産んでまもなくの詩である。彼女の不幸そしてふがいない自分への詩だと言われている。何とも言えない悲しみのこもった詩と感じる。

西村屋

339度.jpg写真のキャプションを入力します。 湯田温泉では中原 中也が結婚式を挙げた“西村屋”に宿泊した。写真1はその玄関である。中也は昭和8年12月3日に結婚している。写真2は結婚式の間“葵”で写真3はその時の三三九度用の酒器である。翌年に長男文也が誕生した。しかし、11年に長男文也死去、直ぐに次男が生まれるが中也は12年10月22日に30歳の若さで亡くなっている。また、その次男も13年始めに死去している。初期のころの詩だと思うが“帰郷”と言う詩がある。
“柱も庭も乾いている 今日は好い天気だ
縁の下では蜘蛛の巣が 心細そうに揺れている
山では枯れ気も息を吐く あゝ今日は好い天気だ
路傍(ろばた)の草陰が あどけない愁(かなし)みをする

これが私の故里だ さやかに風も吹いている
心置きなく泣かれよと 年増の低い声もする


あゝ おまえはなにをして来たのだと・・・
吹き来る風が私に云う”

私は中也ではこの詩が一番好きである。

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